源泉所得税、外国法人税、利子割
2012/08/15 水曜日税金の税務上の扱い、というちょいと自己言及的(!)な、そして非常に細かーい話である。
法人が支払った税金については、法人税法上、損金算入できるものと損金算入できないものがある。
損金算入できるもののうち、利子等から源泉徴収される所得税(以下、源泉所得税)と外国法人税については、損金算入に代えて税額控除を行うことが許されている。(法人税法68条、69条)
源泉所得税と外国法人税はこの点において共通するが、税額控除しきれない場合の扱いや事業税の計算等においては違いがある。
●源泉所得税
法人が支払う源泉所得税の税務上(国税及び地方税)の扱いは下記のようになる。
(法人税)
- 損金算入又は税額控除
- 税額控除しきれない場合は還付
(法人税割)
- 法人税で損金算入を選択した場合 → 特に調整なし
- 法人税で税額控除を選択した場合 → 税額控除前の法人税額を課税標準とする
(事業税)
- 法人税で損金算入を選択した場合 → 損金算入した源泉所得税額を加算処理(*1)
- 法人税で税額控除を選択した場合 → 特に加減算は行わない
(*1)事業税において源泉所得税は損金不算入となるため
●外国法人税
一方、法人が支払う外国法人税について税務上の扱いは次のようになる。
(法人税)
- 損金算入又は税額控除(限度額あり)
- 税額控除しきれない場合は法人税割より控除。それでも控除しきれない場合は3年間の繰越が可能。
(法人税割)
- 法人税で損金算入を選択した場合 → 特に調整なし
- 法人税で税額控除を選択した場合 → 税額控除前の法人税額を課税標準とする。法人税で控除しきれない場合は法人税割より控除。
(事業税)
- 法人税で損金算入を選択した場合 → 「加算=減算+控除」(参考:海外支店に係る事業税の調整)
- 法人税で税額控除を選択した場合 → 税額控除した外国法人税額を減算処理(*2)
(*2)事業税において外国法人税は損金算入されるため
●利子割
上記二つ以外の税金の中で税額控除が認められているものに利子割がある。ただし、利子割において税額控除の対象となるのは法人税ではなく法人税割である。
利子割の税務上の扱いについては、下記のようになる。
(法人税)
- 損金不算入かつ税額控除不可
(法人税割)
- 税額控除が可能
- 税額控除しきれない場合は還付
(事業税)
- 特に加減算はなし
これらを表にまとめると以下のようになる。
また、法人住民税・事業税の申告書において、上記の法人税割及び事業税の調整を行っている部分を示すとこのようになる。⇒法人住民税・事業税申告書
【関連法令】
- 法人税法 第2款 税額控除 68条~70条の2
- 法人税法施行令 第2款 税額控除 140条の2~150条
- 法人税基本通達 第16章 税額の計算 第2節 所得税額の控除
- 法人税基本通達 第16章 税額の計算 第3節 外国税額の控除
(望月)
[訂正]外国法人税(事業税)「法人税で損金算入を選択した場合」の部分を訂正しました(8月16日)