世帯とは何か、言えますか?
2011/08/07 日曜日一連の子ども手当て見直し論議の中において注目(?)を集めることになった「世帯」という概念。日常よく使われる言葉でありながら、改めてその定義を問われると正確に答えるのは意外と難しい。世帯とは何か、言えますか?
Wikipediaでは、「実際に同一の住居で起居し、生計を同じくする者の集団」とある。つまり、「同居」+「生計を一」の要件を満たす全ての者ということだ。「親族」であることはここでは求められていない。
世帯を単位とする制度としては、この他に、住民票の編成や生活保護の要否判断、国民健康保険料の算定・納付などがある。
一方税務では、世帯と似た概念として「生計を一にする親族」という言葉が多く出てくる。文字通り「生計を一」+「親族」ということで、こちらでは「同居」は要件とされていない。
医療費控除、専従者給与、居住用財産の譲渡特例、小規模宅地等の特例など、多数の法令等の中でこの概念は用いられている。
さらに扶養控除でおなじみの「扶養親族」は、この「生計を一」+「親族」の他に、「合計所得金額38万円以下」+「事業専従者でない」という二要件を加味したものをいう。
このように「生計を一」「親族」「同居」という3つの観点でみるとそれぞれの概念は整理しやすい。
ちなみに「生計を一」については、所得税基本通達2-47において下記のような説明がある。
「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
せっかく3つに分けて整理したのだから、「親族」+「同居」→「(原則)生計を一」なんてことは言わないで欲しい気も若干する。
(望月)