更正の請求等の改正

2012/03/18 日曜日

ようやく確定申告が終わった。納税者の皆さま、会計事務所の皆さま、(ついでに)税務署の皆さま、お疲れ様でございました。これで今年も春が迎えられますね。

が、しかし、もしも申告した金額に間違いがあったら…という春にふさわしくない縁起でもない話に、以下、続きます。

 

●「更正の請求」「修正申告」「更正」「決定」

昨年12月施行の平成23年度税制改正において、「更正の請求」に係る改正があった。実際には、「更正の請求」だけでなく、「更正」についても改正が行われている。

申告した後に、実際よりも多くの所得を申告し税金を納め過ぎてしまったことに気付いた場合、納税者は「更正の請求」を行うことによって税金の還付を求めることができる。

これとは逆に、納める税金が少な過ぎた場合には、納税者は「修正申告」することにより申告内容を正すことができる。

一方、税務調査などにより申告内容に間違いがあったことが判明した場合に、税務署が正しい税額に改めることを「更正」という。税額が増える更正を「増額更正」、税金が減る更正を「減額更正」と呼ぶ。

また、申告義務のある納税者が申告をしない場合に、税務署が調査により納付すべき金額を一方的に確定することを「決定」という。

 

●期間制限

上記の各手続きには期間制限が設けられている。従来は、下記のようになっていた。

  • 国税側の更正、決定と納税者側の更正の請求の期間制限の期間が異なっていた。
  • 増額更正と減額更正の期間制限の期間が不統一であった。

 

平成23年度税制改正では、「…「嘆願」という実務慣行を解消するとともに、納税者の救済と課税の適正化とのバランス、制度の簡素化を図る観点から」(以上、平成23年度税制改正大綱)更正の請求等の期間制限について下記のように見直しが行われた。

  • 国税側の更正、決定と納税者側の更正の請求の期間制限を原則5年で一致させた。
  • 青色申告法人の欠損金の繰越期間が9年に延長されたことに伴い、更正及び更正の請求の期間制限の期間が9年に延長された。

 

(参考)贈与税の期間制限

贈与税の更正等の期間制限については、平成15年度税制改正によって他の税目と切り離されて6年とされた。その背景には、相続時精算課税制度の導入や在外財産課税の強化があると言われている。(→参考サイト

 

●「更正の申出書」

今回の改正では、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する分については、更正の請求の期間は従来どおり法定申告期限から1年としている。

しかし、改正前の増額更正が可能な期間(原則3年、法人税5年)内に「更正の申出書」を提出すれば減額更正が受けられるという一定の手当が施されている。

 

●更正の請求に係るその他の改正

平成23年度税制改正では、更正の請求について、期間制限のほかにも下記のような改正が行われている。

 

(参考)所得税の還付申告の場合

所得税の確定申告の期日は3月15日である。しかし、還付申告の場合には(確定申告義務のある人は除き)、翌年の1月1日から5年間提出することができる。

仮に、5年前の医療費の領収書が今頃出てきたとしても、その年の年末までに5年前の確定申告を行えば税金は還付される。

さらに、その還付申告を行った後に、同じ年の別の医療費の領収書が見つかった場合には、還付申告を行った日(または所得税の法定申告期限)から5年以内であれば更正の請求ができる。

すなわち、「還付申告の期限(5年)+更正の請求の期間制限(5年)」でトータルで最高10年間の還付猶予期間?が存在することになる。

 

(望月)