税、社会保険、労働保険の手続
2012/07/10 火曜日7月10日。それは納豆の日であって、かつウルトラマンの日。夏のボーナスの支給日である会社も多いかも知れない。(当所もそう)
と同時に、源泉所得税の納期の特例の納付期限でもあり、社会保険の算定基礎届の提出期限でもあり、さらに労働保険料の申告期限でもある。(ついでに私の結婚記念日でもある)
なんだかスゴイぞ、7月10日!(でも資金的にはかなり厳しい感じだぞ…)
ということで、7月10日に敬意を表しつつ、税、社会保険、労働保険の手続きについて、ざっくりと比較してみたい。以下、給与所得者を前提とする。
●所得税
- 課税対象者 … 当年に所得のある者
- 計算対象 … 当年分の所得
- 申告・届出 … 必要なし。ただし、給与収入2,000万円超など一定の場合には確定申告が必要。
- 通知 … なし
- 月額表 … 源泉徴収税額表
- 徴収 … 月々の給与や賞与から天引き(源泉徴収)し、年末調整において年税額との差額を清算。
- 納付 … 給与等の支払月の翌月10日までに給与支払者が納付。小規模事業者には納期の特例制度あり。
●住民税
- 課税対象者 … 1月1日現在、その市区町村に住所を有する者
- 計算対象 … 前年分の所得
- 申告・届出 … 給与支払報告書あるいは確定申告
- 通知 … 特別徴収通知書(特別徴収)、納税通知書(普通徴収)
- 月額表 … なし
- 徴収 … 6月から翌年5月にかけて給与のみから天引き(特別徴収)
- 納付 … 給与支払日の翌月10日までに給与支払者が納付(特別徴収)。年4回に分けて納税者が納付(普通徴収)。
●社会保険(健康保険及び厚生年金保険)
- 被保険者 … 社会保険加入者
- 計算対象 … 給与(4月~6月)及び各回の賞与
- 申告・届出 … 算定基礎届(4~6月までの給与)、賞与支払届(各回の賞与)、月額変更届(標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合)
- 通知 … 決定通知書
- 月額表 … 標準報酬月額及び保険料額表
- 徴収 … 10月から翌年9月にかけて給与から天引き。賞与については支給の都度天引き。
- 納付 … 徴収月の当月末日までに事業主負担分と合わせて給与支払者が納付。
●労働保険(雇用保険及び労災保険)
- 被保険者 … 労働保険加入者
- 計算対象 … 給与及び賞与(4月~翌年3月)
- 申告・届出 … 概算・確定保険料申告書
- 通知 … 労働保険納付書
- 月額表 … 雇用保険率表、労災保険率表
- 徴収 … 給与及び賞与より天引き
- 納付 … 7月10日までに事業主負担分(雇用保険)を合わせて給与支払者が年一括納付。ただし、金額によって年3回の分割払いが可能。
給与等の金額を元に計算した(された)税額や保険料を、給与等から天引きし、給与支払者が納付するという点において上記の各制度は共通する。
しかし、よく見ると、計算対象の期間や申告届出の有無、さらに徴収期間や納付方法など、各制度において微妙に異なる点は少なくない。
また、「なぜ住民税の計算基礎は当年分ではなく前年分なのか」「なぜ社会保険の算定基礎は年間ではなく4月から6月までの3ヶ月間なのか」「なぜ労働保険だけ年一括払いを基本とするのか」など興味深い点も多い。
現在、社会保障と税の一体化改革に社会的な注目が集まっているが、「社会保障・税一体改革大綱」では、
「社会保障給付や負担の公正性、明確性を確保するためのインフラとして、社会保障・税番号制度の早期導入を図っていかなければならない。」(P2)
「歳入庁の創設による、税と社会保険料を徴収する体制の構築について直ちに本格的な作業に着手する。」(P21)
など、税や社会保障の手続きについても大きな改革の方向性が示されている。
(望月)