ノクターン

2010/03/03 水曜日

夜、実家に一人きりでいると、一瞬、自分の年齢がわからなくなることに気づく。
なぜかテレビもうまく映らないので、静寂の中、時間はどんどんと昔に遡っていく。
空気の冷たさで現実に戻ると、供花の蘭と線香の香りが部屋にかすかに漂っている。
二階の戸棚に保管されていた赤茶けた白黒写真は、シールのように小さいものが多く、目を疲れさせる。
被写体が楽しそうにしている写真は、見る者も幸せにしてくれるのがいい。
この繁忙期に逝くとは、最後の試練を与えたまうたかとも思ったが、何もしていない時間が一番堪える事を思えば、逆に母なりの気遣いだったようにも思える。
昨年は父の13回忌の年。
“もうそろそろこっちに来いよ”と父が母に呼びかけたような気もしないではない。
葬儀にご会葬いただいた方々、生前中にご厚誼をいただいた方々に、この場を借りまして、心より感謝申し上げます。
(望月)