任期10年会社、役員改選はいつ?

2011/08/25 木曜日

平成18年の会社法の施行により、委員会設置会社を除く非公開会社(=全ての株式に譲渡制限のある会社)では、取締役及び監査役の任期は最大10年まで伸長可能となった。これを機に、登記コストの削減などを目的に、取締役及び監査役の任期を10年に変更した非公開会社も多いと思われる。

かつて商法時代には、非公開会社を含む全ての株式会社の任期は一律に、取締役2年、監査役4年と定められていた。つまり、どの株式会社も少なくとも2年に1度は役員改選があったわけで、隔年の定例業務として役員変更の登記手続を行っていた。

一方、役員の改選が10年に一度となると、改選頻度は減るものの、かえってそれがために手続を失念する可能性は高くなると予想される。(登記失念の場合のみなし解散の期間は5年から12年に延長されている)

とはいえ、会社法の施行は平成18年5月なので10年と言ったらまだまだ先の話のような気がしてしまうわけだが、計算してみるとどうやらそうでもないようだ。

法務省の『会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A』では、「会社法施行の日に現に取締役である者の任期」として、次のような記述がある。

…任期については、公開会社でない株式会社(委員会設置会社は除きます。)が任期満了までの間に定款に定めることによって,特段の事情がない限り,会社法第332条第2項の規定による選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長可能とされています。

つまり、会社法の施行時点(平成18年5月1日)に役員である者については、当初の任期満了日までに任期伸長の手続きを行えば、選任後10年以内の範囲で任期の伸長が可能ということだ。

仮に、当初の任期満了日が会社法施行直後の平成18年5月であった場合で任期を10年に変更したとすると、新しい任期満了日はいつになるのであろうか?

平成18年5月に任期満了を迎えるということは、当初の任期が2年の「取締役」であれば、その就任日は2年前の5月、すなわち平成16年5月となる。その就任日から10年後ということは、新しい任期満了日は平成26年5月ということになる。(決算日から2カ月目の定時株主総会による改選を前提)

一方、当初の任期が4年の「監査役」については、その就任日は平成18年5月から4年前に遡るので平成14年5月となり、新たな任期満了日は就任から10年後の平成24年5月ということになる。つまり来年の5月ということだ。

役員任期を10年に変更し、当分役員改選はないと考えていた株式会社でも、会社法施行後“初”となる役員変更手続がいよいよ来年5月以降に迫りつつあるのである。

〝役員改選、Coming soon!〟(大袈裟)

(望月)

⇒[訂正記事あり]