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寒中お見舞い申し上げます。
先行きが見えない混沌の時代。それを不安要素と見るか、チャンスだと考えるか。そんな時代にやっておかなければならないことと、そんな時代だからこそできること。それらについて、自ら考え、動き、決断し、そしてその結果に対する責任を持つ。このシンプルな原則をどこまで徹底できるか、覚悟を決められるか。改めて自問してみる今年の年頭でありました。
1. 取引先の破綻に対する対応策
平成13年の企業倒産は、倒産件数約2万件、負債総額16兆円超にのぼり、いずれも戦後2番目の規模となりました。この傾向は平成14年においても続き、販売不振、売掛金の回収難等を原因とする「不況型倒産」が、特に増加傾向にあります。
このような状況下、連鎖倒産を回避する上でも取引先の破綻に対する事前・事後の対策が一段と重要となります。各段階における対応策をまとめてみました。
■ 取引開始前
○ 十分な信用調査
・ 自社営業マン等による現地調査
・ 信用調査会社への調査の委託
・ 相手先の決算書、登記簿等の入手
○ 適切な与信限度額、取引条件の設定
○ 十分な担保設定
・ 人的担保と物的担保
・ 取引信用保険の利用
○ 有用な契約書の作成
・ 期限の利益喪失条項、相殺条項等の盛り込み
・ 公正証書の作成
■ 取引継続時
○ 倒産兆候の早期発見、情報収集
・ 営業マン、金融機関、取引先などからの情報収集
・ ヒト、モノ、カネの異常の発見
○ 取引限度の管理の徹底化、取引限度額の見直し
○ 担保物・保証人等の管理
○ 債権回収態勢、マニュアル等の社内体制の整備
■ 滞留債権が発生した時
○ 売掛金の時効消滅を中断
・ 債務者に対する催告(裁判外の請求)
・ 債権保全手続(強制執行の申立て等)の実行
・ 債務者による債務の存在の承認(債務残高確認書の入手)
○ 売掛金の手形化
○ 売掛金の貸付金への移行
・ 時効の延長(ex. 2年→5年)
・ 利息の計上
・ 保証人の取付け
■ 信用不安情報を入手した時
○ 取引条件の変更、取引の打ち切り
○ 商品の合法的引上げ
・ 当事者の合意による方法、催告書を用いる方法
○ 債権の圧縮化
・ 債権譲渡、相殺、代物弁済、担保権の実行等
○ 自宅払手形への切り替え(社長個人に資産がある場合)
■ 取引先が実際に倒産した時
○ 任意整理における債権確保のための手続
○ 法的整理における債権確保のための手続
・ 民事再生法、会社更生法、破産法等
○ 貸倒引当金あるいは貸倒損失の計上のための資料等の準備
■ その他
○ 各段階における弁護士等の専門家の活用
○ 滞留債権、回収不能債権等が生じた場合のセイフティネット貸付
(国の施策に基づく特別貸付の一つ)等の利用(→別紙1)
参考資料:「税理2002.6月号」(ぎょうせい)、大矢息生著「企業予防法務」(ぎょうせい)、「会社経営の法律知識」(自由国民社)、帝国データバンクWeb Site
2. 平成15年度税制改正大綱
平成15年度の税制改正の原案となる税制改正大綱が、昨年12月自民党税制調査会より公表されました。デフレ不況からの脱却と税収不足への対応という対極の課題と共に、地方分権、税体系の簡素化、社会保障制度の財源等の長期的課題をも抱える中、今回は幅広い分野にわたる比較的大きな改正となりました。その概要を一覧にしましたので、ご参照ください。(→別紙2)
なお、詳細については、3月末の法案成立後、例年と同じく本ニュース及び小冊子にて、お伝えする予定です。
3. 推奨メールマガジン
自宅や会社に居ながらにして、有用な情報や貴重なメッセージが無料で配信されてくるならば、これほど楽で有り難いことはありません。今やメールマガジンは、世に無数に配信されるようになりました。が、そうなると今度はその中から自分に必要なものを見つけ出すのが一苦労となります。ということで、私自身が現在利用しているメールマガジンの中で、関与先の皆様にとってもご参考になるのではと思われるものを、ここにご紹介させていただきます。
■ 未来からの風/田坂広志
現在シンクタンク・ソフィアバンク代表で、多摩大学・大学院教授でもある田坂広志氏が送るメッセージメール集。わかりやすい言葉、簡潔な文章で書かれているため、非常に読みやすいメールマガジンとなっている。が、その内容は独特の深みと広がりを持ち、安易な理解や解釈を許さない「思想」がそこにある。ウェブサイトでは、講演の模様や対話集などを音声により聞く事ができ、サイト全体が「知」の醍醐味に溢れている。毎週火曜日と木曜日に配信。
ウェブサイト:
http://www.hiroshitasaka.jp/home/
メールマガジン申込:
http://www.hiroshitasaka.jp/kaze/index.html#touroku
■ 波のささやき/藤沢久美
NHK教育「21世紀ビジネス塾」、テレビ東京「お金のソムリエ」のキャスターや、金融経済雑誌等への連載などで活躍する藤沢久美氏が、取材現場や講演活動などを通じて感じたこと、発見したことをウィークリーメールとして配信。同世代ということもあり、私にとって共感するところが非常に多い。文章に表れる藤沢氏自身のひたむきで前向きな姿勢が読む者に新鮮な刺激と元気を与える。毎週金曜日に配信。
ウェブサイト:
http://www.kumifujisawa.jp/
メールマガジン申込:
http://www.kumifujisawa.jp/mail/
■ JMM(Japan Mail Media)/村上龍
作家の村上龍氏が主催する経済分野にテーマを絞ったメールマガジン。村上氏からの経済に関する素朴だが核心をついた質問に対し、数名の専門家がそれぞれ回答をする『金融経済の専門家たちに聞く』他、数シリーズが日替わりで配信される。文章のボリュームが多く、専門的な内容も含まれるため、全てを読み切ることは至難の業だが、興味ある部分を拾い読みするだけでも十分勉強になる。後に同じ内容のものが書籍としても出版されている。毎週3回程度、配信。
ウェブサイト&メールマガジン申込:
http://jmm.cogen.co.jp/
■ Weekly TabisLand News/エプソン
税務会計に関するトピックスや経営支援情報などを、主に企業の経理担当者や会計事務所などを対象に提供するタビスランド。大手企業が運営するだけに、さすがにその情報量は膨大である。ウェブサイト上にある「税務会計ニュース」「税務経理実務解説」「ビジネス情報」等の各コンテンツが日々更新され、その更新状況がメールマガジンで会員に知らされる。コンテンツの中には、一部有料の会員登録をしなければ利用できないものがある。メールマガジンは、毎週月曜日に配信。
ウェブサイト:
http://www.tabisland.ne.jp/
メールマガジン申込:
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