2003年6月
あのべッカムもまた、レアル・マドリッドに入団することが決まりました。昔よく、野球やサッカーの"ドリーム・チーム"を、自分勝手に想像して楽しんだものですが、今のレアルはまさにそんなチームとなってしまいました。国という一つの「縛り」の中で構成される代表チームに対し、資本力さえあればどんなメンバーでも揃えることができるクラブチーム。スター軍団のレアル・マドリッドがさらに大枚を叩いてベッカムを獲得することも「自由」なことではあるのでしょう。しかし、その行為があのバブル期に海外資産を買い漁った日本企業の振る舞いとダブって写るのは私だけでしょうか。
サッカーは、手が使えないという大きな「縛り」があるゆえに、高い創造性や自由度を獲得し、世界的な人気スポーツなったと言われます。金持ちオーナーによる「選手のコレクション化」とも言うべき、哲学なきスター選手の囲い込みは、そのサッカーの魅力とは対極に位置するもののように思えます。そして、このような傾向がこのまま続けば、レアル・マドリッドというチームやその選手達、ひいてはスペインリーグ自体の価値の陳腐化を遠からず招くような気がしてなりません。
サッカーを愛するものの一人として、またドリームチームを想像する楽しみを奪われた者として、少し感情的にそう思うのです。
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