最近の減価償却制度の改正
2014/04/11 金曜日政府税制調査会で、減価償却の「定率法」を縮小・廃止する案が浮上しているらしい。
すでに大手企業の一部では国際会計基準への対応を見据え、定率法から定額法に変更する動きもあるとのことだが、今回のこの案が実現すると中小企業でも定率法を採用できなくなる可能性がある。
減価償却制度については、平成10年以降、大小様々な改正が頻繁に行われ、少々わかりづらいものになっていたが、定率法が廃止されることにでもなれば、制度としてはスッキリする一方で、企業の所得金額や納税額に与える影響も小さくはない。
減価償却制度の沿革については、下記資料の第1章~第2章に詳しい記述がある。
その中から、平成10年以降の主な改正についてピックアップしてみた。(特別償却制度等については除外している。)
平成10年(1998年)改正
- 建物の減価償却方法を定額法のみに
- 少額減価償却資産の取得価額基準を20万円未満から10万円未満に引き下げ
- 一括償却資産制度の創設
- 2分の1簡便償却制度の廃止
- 営業権の償却方法を任意償却から5年間均等償却に
- 建物の耐用年数を10%~20%短縮(最長50年に)
平成12年(2000年)改正
- ソフトウェアを繰延資産から無形固定資産へ変更
平成13年(2001年)改正
- 電子計算機の耐用年数の短縮
平成15年(2003年)改正
- 中小企業を対象に少額減価償却資産の取得価額基準を10万円から30万円未満に引き上げ(少額減価償却資産の特例)
平成18年(2006年)改正
- 少額減価償却資産の特例の損金算入額の上限設定(300万円)
平成19年(2007年)改正
- 償却可能限度額及び残存価額の廃止
- 250%定率法の導入
- 資本的支出を行った場合の取扱い(本体資産と分離)
- 所有権移転外ファイナンスリース取引を売買取引とみなす
平成20年(2008年)改正
- 法定耐用年数及び資産区分の見直し
- 耐用年数の短縮特例制度の手続簡素化
平成23年(2011年)12月改正
- 200%定率法の導入
(望月)